フリーランスの起源と多様な現代の姿

フリーランスとは「業務に応じて企業や団体と自由に契約を交わし働く人」を指します。

近年のフリーランスと言えば、ITエンジニアやWebデザイナー、ゲームクリエイターなどのクリエイティブ関連が目立ちますが、看護師や美容師、弁護士、税理士など多岐にわたる職種が存在します。

目次

フリーランスの定義

フリーランスは英語で「Freelance」と表され、「Free(自由)」と「Lance(槍)」を組み合わせた言葉です。中世ヨーロッパでは、契約により有力者に仕える騎士が使っていた武器が槍だったことから「自由な槍」という意味で使われています。

以下はダニエル・ピンク著「フリーエージェント社会の到来」からの引用です。

『中世の傭兵たちは、報酬が納得でき、戦いに意義を感じることができれば、どの君主の旗の下でも戦った。このシステムがイングランドに伝わると、傭兵は「フリー・ランス(自由な槍)」と呼ばれるようになった。忠誠心や主従関係から自由な騎士という意味である。お呼びがかかれば、槍を持ってどこへでも飛んでいく、というわけだ。』

出典:ダニエル・ピンク著『フリーエージェント社会の到来 新装版 — 組織に雇われない新しい働き方』

ダニエル・ピンク氏は、同書のなかで、歴史上フリーランスという言葉が侮辱的に使われてきたこともあったということに触れ、高度成長期に王道とされた「大企業に所属する」という働き方を捨て、組織に頼ることなく、自分の知恵を頼りに独立して働く人=フリーエージェント(free agent)という言葉で、新たに定義し直していました。

フリーランスは、組織に属さず、独立してさまざまなプロジェクトに関わり、自らが持つ技術を提供しながら働きます。

ただし、組織に雇用されていないため、労働基準法などの労働法規は適用されず、「最低賃金」「労働時間」「休日」「有給休暇」「労働災害での補償」などの規定の対象外です。

しかし、フリーランス新法が2024年秋頃施行予定となっています。これを機にフリーランスの社会的地位も変わっていくと見込んでいます。

フリーランスと個人事業主の違い

フリーランスと個人事業主の違いは、開業届を出しているか否かです。

  • 個人事業主:開業届を出している(税務上使用する言葉)
  • フリーランス:開業届を出していない(呼び名)

個人事業主は、自身の事業を法人ではなく個人で行う者であり、税務署に開業届を提出している人を指します。開業届を出していなくても、フリーランスと呼べますが、社会的な立場が安定しないので、開業届を出せる状態でフリーランスになるのをオススメします。

フリーランスの代表的な職種例

フリーランスは多様な業種が存在しますが、以下はその代表的な職種です。

プログラマー(SE)

プログラマーは、JavaやRubyなどのプログラミング言語を使用して、システムやアプリケーションの開発を行います。SE(システムエンジニア)は、プログラムの作成以外にも、要件定義やシステム設計、テストなども担当します。

Webマーケター

Webマーケターは、Webを活用したマーケティング戦略を企画・実行します。SEOマーケターや広告プランナーなど、様々な手法を用いて企業の集客や販促を行います。また、データ分析なども重要な業務の一つです。

デザイナー

デザイナーは、Webデザイナーやファッションデザイナーなどの分野があります。クライアントの要望に沿って、視覚的な要素をデザインし、魅力的なコンテンツを制作します。

編集者

編集者は、書籍や雑誌、Webコンテンツなどの制作プロセスを管理し、内容や表現の調整を行います。取材や原稿執筆、校正なども業務の一環です。

動画クリエイター

動画クリエイターは、映像や音声を用いて、様々なジャンルの動画コンテンツを制作します。撮影から編集、そして配信までを担当し、クライアントの要望に応じて多様な動画作品を生み出します。

カメラマン

カメラマンは、商品やイベント、ポートレートなどの被写体を撮影し、クライアントに提供する仕事を行います。広告写真や報道写真など、様々なジャンルがありますが、クオリティの高い写真を提供することが求められます。

 フリーランスとして働く特徴

フリーランスの働き方には、以下のような特徴があります。

1. 自由と責任がある働き方

フリーランスは自由な働き方をする一方で、自らが全ての責任を負います。クライアントとの契約やプロジェクト管理、そして報酬の受け取りなど、全ての業務に責任が生じてきますが、これが醍醐味です。

2. 仕事を選ぶ判断力が鍛えられる

フリーランスは仕事を選ぶ自由があります。そのため仕事を選ぶ判断力が仕事の良し悪しを決めます。自身のスキルや興味に合った仕事をどのように選択するのかが大事になってきます。

3. 技術力があれば高い報酬が期待できる

フリーランスは自らの技術や経験に応じて報酬を設定できるため、技術力があれば高い報酬が得られる可能性があります。報酬は個人の能力や成果に応じて決定されるため、会社員とは異なる報酬体系が特徴です。

フリーランスだからこそ経験できること

1. 収入が不安定になる可能性がある

フリーランスは収入が不安定であり、クライアントの依頼やプロジェクトの変動によって収入が大きく変動します。安定した収入を得るためには、クライアントとの信頼関係を築くことや、複数のプロジェクトを同時に進行することが重要です。

2. 社会的信用を得にくい

フリーランスは、法人ではないため社会的信用が低く、信用を得るまでに時間がかかる場合があります。また、信用を得るためには、実績やスキルを積み重ねていく必要があります。3年間黒字の個人経営ができれば社会的地位も得られます。社会人1年目だと社会的信用がないのと同じで、継続すれば問題ありません。

3. 確定申告や各種保険の手続きを自身で行う必要がある

フリーランスは自らが個人事業主となるため、確定申告や各種保険の手続きを自身で行う必要があります。税金の計算や納付、保険の加入など、煩雑な手続きが求められますが、適切に行うことで法的なトラブルを回避できます。

まとめ

近年、フリーランスとしての働き方が注目されています。その自由な働き方や報酬体系は多くの人々を惹きつけており、様々な業種でフリーランスの活躍が見られます。しかし、収入の不安定性や社会的信用の低さなど、様々な課題も存在します。フリーランスとして働く上でのリスクとメリットを理解し、適切な準備を行うことが重要です。

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