近年、フリーランスとして働く人が増えています。
独立して自由な働き方を選ぶことは魅力的ですが、家族がいる場合、特に「扶養」に関する問題が気になる方も多いのではないでしょうか?
今回は、夫がフリーランスになった場合に妻や子供の扶養がどうなるのかについて解説します。
夫がフリーランスになったら妻や子供の扶養はどうなる?
夫がフリーランスになると、家族の健康保険や税金面での「扶養」の扱いが変わることがあります。
この場合、選択肢は下記の3つです。
・夫が国民健康保険へ切り替える
・健康保険(社会保険)の任意継続被保険者になる
・妻の扶養に入る
それぞれ解説していきましょう!
①夫が国民健康保険へ切り替える
夫が会社員の場合、会社の社会保険(健康保険)に加入しており、その扶養家族として妻や子供も保険料負担なしで医療サービスを受けることができます。
しかし、夫がフリーランスになると、この仕組みは大きく変わります。
国民健康保険とは?
フリーランスになると、基本的に国民健康保険に加入する必要があります。
国民健康保険は自治体が運営する公的な医療保険制度で、以下の特徴があります
– 被扶養者という概念がない:会社員時代の社会保険とは異なり、家族全員分の保険料を個別に支払う必要があります。
– 世帯全体の所得で計算:国民健康保険料は世帯全体の所得を基に計算されるため、夫だけでなく妻や子供の収入も影響します。
具体的な手続き
・夫が会社を退職した後、14日以内に自治体窓口で国民健康保険への加入手続きを行います。
・同時に、妻や子供もそれぞれ被保険者として登録されます。
留意点:保険料の仕組みを理解して賢く備えよう
国民健康保険では、家族一人ひとりに対して保険料が発生する仕組みとなっており、会社員時代の社会保険とは異なる計算方法が採用されています。
特に世帯収入が高い場合は、自治体ごとに設定されている保険料の上限額を確認することが重要です。
事前に適切な情報を把握し、無理のない計画を立てることで、安心して対応できるよう備えましょう。
②健康保険(社会保険)の任意継続被保険者になる
夫が会社員からフリーランスになる際、健康保険を「国民健康保険」に切り替える以外に、「任意継続被保険者」として会社員時代の健康保険を引き続き利用する方法があります。
この制度を利用することで、一定期間、会社の健康保険に加入し続けることが可能です。
任意継続被保険者とは?
任意継続被保険者とは、退職後も一定条件を満たせば、会社員時代に加入していた健康保険を最長2年間継続して利用できる制度です。
以下が主な条件です:
・退職日までに継続して2カ月以上その健康保険に加入していたこと
・退職後20日以内に申請を行うこと
この制度を利用することで、国民健康保険への切り替えを一時的に避けることができます。
保険料の計算方法
任意継続被保険者では、会社員時代と異なり、会社が負担していた部分も自己負担となります。そのため、支払う保険料は以下のようになります:
・全額自己負担:退職前の給与を基準に計算されるため、一般的には国民健康保険より高額になる場合があります。
・上限額あり:ただし、健康保険組合によっては上限額が設定されている場合もあり、高所得者の場合は国民健康保険より安くなるケースもあります。
③妻が会社員の場合は扶養に入ることができる
妻が会社員や公務員として働いており、自身で社会保険(健康保険と厚生年金)に加入している場合には、夫や子供を妻の扶養に入れる選択肢があります。この場合、条件を満たせば家族全体の負担を軽減できる可能性があります。
夫を妻の扶養に入れる条件
夫を妻の社会保険の扶養に入れるためには、以下の条件を満たす必要があります:
・収入要件:夫の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)であること。
・労働時間:夫の労働時間が週30時間未満であること。
これらの条件を満たさない場合、夫は妻の扶養には入れず、自身で国民健康保険に加入する必要があります。
子供を妻の扶養に入れる場合
子供についても、妻が社会保険に加入している場合にはその扶養家族として登録することが可能です。ただし、この場合も収入要件など条件を確認する必要があります。
留意点:妻側の手続きも忘れずに
妻が社会保険に加入している場合、その保険料は給与額によって決まるため、夫や子供を扶養に入れても直接的な増額はありません。
ただし、扶養家族を増やす際には手続きや条件確認など、追加で対応が必要になる点には注意しましょう。
事前に必要な準備を進めてスムーズに対応できるよう心掛けてください。
失業保険の対象になる可能性も
会社を辞めてフリーランスになる場合でも、状況によっては失業保険(雇用保険の基本手当)を受給できる可能性があります。
失業保険は、基本的に「求職活動を行っている人」が対象となりますが、「創業準備中であっても求職活動の一環として認められる場合」があります。
具体的には、以下のような状況であれば給付対象になる可能性があります。
・創業の検討や準備を進めているが、まだ開業届を提出していない。
・会社の設立登記や事務所の賃貸契約など、正式な事業開始手続きを行っていない。
これにより、フリーランスとして独立する前の準備期間中に経済的な支援を受けられる可能性があります。
ただし、確実に受給できるわけではありませんので、詳細については管轄のハローワークにてご確認ください。
まとめ:家族全体で最適な選択を!
夫がフリーランスになると、国民健康保険への切り替えなど、多くの選択肢があります。
状況によって最適な選択肢は異なるため、一度自治体窓口や社会保険事務所に相談することがおすすめです。
フリーランスとして新しい働き方を始める際には、家族全体で安心できる環境づくりを忘れず進めていきましょう!